大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和53(あ)1439 判決

主 文

原判決及び第一審判決を破棄する。

被告人を罰金一万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金二〇〇〇円を一日に換算し

た期間被告人を労役場に留置する。

第一審における訴訟費用は、その二分の一を被告人の負担とする。

理 由

検察官の上告趣意及び弁護人西垣内堅佑の上告趣意第一について

記録によれば、原審は、第一審判決を破棄したうえ、被告人の建造物侵入の事実

を認定し、刑法一三〇条、罰金等臨時措置法三条一項一号、刑法六〇条を適用して、

被告人を罰金二万円に処する旨の判決を言い渡したことが認められる。

しかしながら、刑法一三〇条の罪の法定刑のうち罰金刑の多額は一万円であつて、

これを超過する罰金を科することができないことは、当裁判所昭和五一年(さ)第

四号同年六月二九日第三小法廷判決(裁判集刑事二〇一号一〇五頁)の示すところ

であるから、原判決が右判例に違反して刑の量定をしたことは明らかであつて、論

旨は理由がある。

弁護人西垣内堅佑の上告趣意第二について

所論は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、刑訴法四〇五条の上告理由

にあたらない。

よつて、同法四〇五条二号、四一〇条一項本文、四一三条但書により原判決及び

第一審判決を破棄し、被告事件についてさらに判決をすることとする。

原判決が認定した建造物侵入の事実に法令を適用すると、被告人の所為は、刑法

一三〇条、罰金等臨時措置法三条一項一号、刑法六〇条に該当するところ、所定刑

中罰金刑を選択し、その金額の範囲内で被告人を罰金一万円に処し、右罰金を完納

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することができないときは、刑法一八条により金二〇〇〇円を一日に換算した期間

被告人を労役場に留置することとし、器物損壊の点については、その証明がないと

した原判決の判断はこれを維持すべきであるが、右は建造物侵入の罪と観念的競合

の関係にあるとして起訴されたものであるから、主文において特に無罪の言渡をし

ないこととし、なお、第一審の訴訟費用の負担については、刑訴法一八一条一項本

文を適用し、その二分の一を被告人に負担させることとし、裁判官全員一致の意見

により主文のとおり判決する。

検察官竹村照雄 公判出席

昭和五四年七月一九日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 団 藤 重 光

裁判官 藤 崎 萬 里

裁判官 本 山 亨

裁判官 戸 田 弘

裁判官 中 村 治 朗

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